研究課題/領域番号 |
16K11745
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
倉田 行伸 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20464018)
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研究分担者 |
山村 健介 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90272822)
照光 真 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60401767)
瀬尾 憲司 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40242440)
西山 秀昌 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60243250)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 神経障害性疼痛 / 神経虚血 / 下歯槽神経血管束 / MRA |
研究実績の概要 |
神経虚血はしびれや痛みの原因となりうることが示唆されており、三叉神経領域の神経障害性疼痛にも神経虚血が関与している可能性がある。三叉神経損傷後の神経障害性疼痛では、急性期における神経炎症から慢性期における瘢痕組織の形成に至る過程で神経虚血が生じていると推測される。そこで、口腔顔面領域で頻度の高い下歯槽神経損傷を対象として、下歯槽神経動静脈の血流測定をヒトで非侵襲的な手法によって試みる。その手法として、MRIを用いた磁気共鳴血管画像法(MRA)と近赤外分光法(NIRS)を応用する。 まず、下歯槽神経血管束の形態的評価を行うために、正常被験者で1.5テスラMRI装置を使用して、脳や頚部のMRAで頻用される撮像法である3D-TOF(Time of flight) MRAを用いて下歯槽神経血管束を描出するためのパラメータの適正化に取り組んだ。下歯槽神経血管束の微細な画像の精密かつ明確な描出のため、表面コイルを使用して撮像を行った。表面コイルを使用することで体表表面付近からの信号を効率よく検出し、感度が高くなり分解能が向上する。その結果、下歯槽神経に伴走する血管と考えられる高信号領域が認められた。この結果から、3D-TOF MRAを用いて下歯槽神経血管束の微細な画像の描出が可能となったことが示唆された。 次に、3D-TOF MRAで描出されたものが真に血管であるかを検証するために、血管から血液の信号を抑制して黒く抜けた状態にする撮像法であるblock blood MRAを用いて下歯槽神経血管束を描出するためのパラメータの適正化に取り組んだ。コイルは表面コイルを使用した。しかし、この撮像法による血管の描出は現時点では不安定であり、パラメータが適正化されていないため、更なるデータ取得が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度でblock blood MRAのパラメータの適正化を行う予定であったが、血管の描出が安定せず、未だ適正化には至っていない。そのため、パラメータを検討しながら更なるデータの収集を行う必要がある。 また、NIRSによる下顎骨内の血流変化の検討に関しては、本学倫理委員会の承認を得られていないため、研究方法の再検討を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は正常被験者を対象として、block blood MRAの適正なパラメータを確立する。そして、下歯槽神経血管束の血流の半定量的評価を行うため、3D-PC(phase contrast) MRAを用いた撮像を行う。 また、NIRSの研究に関しては、早急に本学倫理委員会の承認を得て研究を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はNIRSの研究のために下顎骨測定用のプローブ固定ホルダーを設計し、特注品を製作、購入する予定であったが、研究が開始していないため未だ購入していない。
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次年度使用額の使用計画 |
今後は下顎骨測定用のプローブ固定ホルダーを製作、購入する。また、学会発表や資料収集のための旅費、正常被験者への謝金、MRI使用料等を計上する。
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