研究課題/領域番号 |
16K11901
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
李 昌一 神奈川歯科大学, 大学院, 教授 (60220795)
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研究分担者 |
小松 知子 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 講師 (20234875)
斎藤 一郎 鶴見大学, 歯学部, 教授 (60147634)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | メンタルストレス / 酸化ストレス / 唾液 / 抗酸化 / 抗酸化物質 / 電子スピン共鳴法 |
研究実績の概要 |
メンタルストレスは活性酸素種(ROS)による酸化ストレスが原因の1つであるが、直接的なROSの役割の解明とそれを消去・無毒化する抗酸化物質の評価はこれまで行われていない。このことから,本研究の目的は非侵襲的で簡便に採取できる唾液を用いて、これらメンタルストレスの直接的な酸化ストレス・抗酸化物質評価法を確立し、災害関連死を含めたメンタルストレスによる疾患予防に役立つ評価法の開発を目指している。平成28、29年度にかけての検討から、健常被験者の唾液における活性酸素種(ROS)の役割の解明のため、唾液による電子スピン共鳴(ESR)法を用いたROSの検出・同定を試みたが、直接的に唾液からROSの産生を検出するのは、現状のESRによる方法論では難しい現状が確認された。しかしながら、健常被験者の唾液によるROS消去能は確認された。この結果から、平成29年度に当初の計画にある抗酸化物質のメンタルストレス由来ROSへの消去能の解析による抗酸化物質のスクリーニングをおこなった。有効な抗酸化物質の絞り込みを実施するための基礎的実験として、代表的な抗酸化物質であるアスコルビン酸の検討なども行い、アスコルビン酸の唾液中ROS消去活性を確認した。また、遠隔地からの唾液サンプル測定可能かどうかを確かめるために、冷凍保存時間の検討を行い、唾液中のROS消去能は冷凍保存48時間においても消去活性に影響がみられないことも確認した。以上の結果から、今後進める酸化ストレスが原因であるメンタルストレスのある患者に対する唾液中のROS消去能の評価により、これまでの健常被験者のデータと比較する臨床研究の基盤は整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初できるだけ早く、神奈川歯科大学付属病院(障害者・高齢者歯科)、鶴見大学付属病院(ドライマウス外来)で、心療内科または精神科でメンタルストレスによる精神疾患の診断を受けた患者および歯科医師によってMedically unexplained symptom (MUS) が認められた患者においてスクリーニンクされた患者を対象として、臨床研究を進める予定であった。しかしながら、電子スピン共鳴(ESR)法による唾液を用いた当初計画していた酸化ストレスの直接的な評価が難しく、測定可能であった抗酸化能評価の検討と採取条件の調整のための基礎的実験をおこなう必要があったため、これらの実験を平成29年度に実施した。このために、当初平成28年度以来の患者への臨床応用研究が遅れた。平成30年度にはこの遅れを取り戻すために、MUS患者を中心とした被験者や災害地の避難所・仮設住宅の被験者に対して唾液を用いた抗酸化能評価の資質評価をこれまでの健常人の実験データと比較検討して、臨床応用研究をおこなうつもりである。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度までの検討において、健常被験者の直接的な唾液中の活性酸素種(ROS)の検出を再度試みたが、現状の電子スピン共鳴(ESR)による方法論では難しい現状が再確認されたので、平成30年度は測定可能である唾液がROSを消去する唾液抗酸化能を評価することとした。平成30年度はメンタルストレスの有る患者と健常者の比較検討による臨床応用研究を主としておこない、酸化ストレスとメンタルストレスとの関連性を探索することを進める。また、平成29年度にメンタルストレスに臨床応用可能な抗酸化物質の唾液抗酸化評価の基礎的検討をおこない、スクリーニングの準備が可能になったので、健常者、メンタルストレスの有る患者における唾液抗酸化評価の比較検討をおこない、健常者、メンタルストレスの有る患者に有効な抗酸化物質の絞り込みを実施したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
神奈川歯科大学付属病院(障害者・高齢者歯科)、鶴見大学付属病院(ドライマウス外来)で、心療内科または精神科でメンタルストレスによる精神疾患の診断を受けた患者および歯科医師によってMedically unexplained symptom (MUS) が認められた患者においてスクリーニンクされた患者を対象として、臨床研究を進める予定であったが、電子スピン共鳴(ESR)法による唾液を用いた当初計画していた酸化ストレスの直接的な評価が難しく、測定可能であった抗酸化能評価の検討と採取条件の調整のための基礎的実験をおこなう必要があったため、これらの実験を平成29年度に実施した。このために、当初平成28年度以来の患者への臨床応用研究が遅れた。平成30年度にはこの遅れを取り戻すために、MUS患者を中心とした被験者や災害地の避難所・仮設住宅の被験者に対して唾液を用いた抗酸化能評価の資質評価をこれまでの健常人の実験データと比較検討して、臨床応用研究をおこなうつもりである。従って、最終年度は当初予定していた臨床研究を行うための研究経費、内外への研究成果の発表などに使用する予定である。
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