研究課題
本研究の目的は非侵襲的で簡便に採取できる唾液を用いて、メンタルストレスに関与する活性酸素種(ROS)による酸化ストレスの直接的な抗酸化物質評価法を確立し、災害関連死を含めたメンタルストレスによる疾患予防に役立つ評価法の開発である。平成28、29年度にかけての検討から、健常被験者の唾液におけるROSの役割の解明のため、唾液による電子スピン共鳴(ESR)法を用いたROSの検出・同定を試み、健常被験者の唾液によるROS消去能は確認された。平成30年度ではさらに、安静時唾液中のROSの消去能は、刺激唾液と比較して、すべての経過時間において安静時唾液で有意に高い値を示した。このように唾液のROS消去能は安静時唾液と刺激唾液で違いがあることが明らかになった。すべてのROS消去能では、刺激唾液に比較して安静時唾液で高値を示した。すなわち、採取する唾液について安静時唾液、刺激唾液の鑑別が必要であり、また、採取後4 ℃保管における安静時唾液48時間以内、刺激唾液24時間以内ではESR測定値に影響を与えないことが明らかとなった。これにより、被災地での唾液採取の条件を基準化でき、定期的、継続的な唾液中の抗酸化能のモニタリングによる避難所・仮設住宅における個々の被災者の酸化ストレス度の変動による生活習慣病の予防、災害関連疾患の早期発見につながるリスク評価への応用の可能性が示唆された。の結果から、平成29年度より、抗酸化物質のメンタルストレス由来ROSへの消去能の解析による抗酸化物質のスクリーニングをおこなった。有効な抗酸化物質の絞り込みを実施するための基礎的実験として、代表的な抗酸化物質であるアスコルビン酸の検討なども行い、アスコルビン酸の唾液中ROS消去活性を確認し、抗酸化物質のスクリーニングに唾液を用いたESR法が有用であることが確認された。
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