研究課題
結核の患者数は減少傾向にあるが、年間約1万5千人の新規患者が発生しており、いまだ日本の主要な感染症である。近年では、多剤耐性結核の発生、住所不定者や外国人などの感染、高齢者の再発などの課題があり、引き続き予断を許さない。結核の集団感染は、病院などの施設が全体の約20%を占めており、医療関連感染としての結核感染対策は重要である。我々は、一般医療機関で医療従事者を含む職員や患者の結核発病による大規模な接触者健診を幾度か経験した。病院で結核患者が発生すると、接触者健診を実施する。interferon-gamma release assays(IGRA)等により潜在性結核感染症と診断されると約2年間の継続観察を要する。結核発病のリスクがある潜在性結核感染症に占める医療従事者の割合は高く、発病予防のため抗結核薬を服薬しながら夜勤を含む業務に従事する場合がある。そして結核患者の発生に伴い、繰り返される接触者健診の受検職員に対する継続支援は十分に確立していない。研究目的は、医療施設内結核健診受検職員の継続支援のために汎用性が高いソフトウエアを開発することである。本年度は、結核健診受検職員の継続支援のために開発したソフトウエアの画面操作を容易にする視覚的な工夫や手引書の推敲・修正を行った。また、これまでの成果を論文で公表した。この論文では、①ソフトウエアの設計は、Microsoft Access 2016を用いて発病者情報と接触者健診受検職員情報を紐づけて管理できること、②職員が在職期間中に接触者健診を複数回受検する場合に、履歴を管理できること、③最低限必要な項目を「必須」、それ以外は「任意」入力とすることで、汎用性を持たせたこと、などを記載した。
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日本医療マネジメント学会雑誌
巻: 21 ページ: 164-169
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