本研究の目的は、第一に看護管理者が抱く怒りの実態についてインタビュー調査を実施し、質的帰納的分析結果及び文献検討をもとに、看護管理者のための怒り感情マネジメントプログラムを開発することである。第二に開発したプログラムの効果検証にむけて介入研究を実施することである。本調査の結果、開発したプログラムは、弁証法的行動療法(DBT)におけるマインドフルネススキルとともに感情調節スキル、対人関係スキル、苦悩耐性スキルを部分的に援用した内容で構成される合計6時間のプログラムであった。効果検証にむけた本研究は、研究協力の同意が得られた医療機関の看護管理者を対象に、感情マネジメント研修(1日:6時間)を実施し、研修前後および研修終了一ヵ月後の合計3回の質問紙調査により研修効果を検証した。本プログラムはインタビュー調査及び文献検討の結果から、認知行動療法と弁証法的行動療法におけるマインドフルネスを取り入れた内容で構成した。 調査内容は属性のほか怒り喚起・持続尺度、ネガティブな反すう尺度、Five Facet Mindfulness Questionnaire 日本語版(FFMQ)、情動知能尺度(EQS)であった。介入研究の対象者は、研究協力の同意が得られた看護師長89名であった。対象者の年代は40歳代が36名で最も多く(40.4%)、看護師経験年数22.9年、看護管理者経験年数6.37年であった。介入直後は全員がプログラムの内容を理解し実践への意欲を示した。介入一か月後に48名(53.9%)から回答が得られ、研修参加後にプログラム内容を実践した対象者は39名(回答者の81.3%)であり、実施頻度は不定期に1~3回の実施が最も多くみられた。介入一か月後では、Five Facet Mindfulness Questionnaire 日本語版(FFMQ)において、統計学的有意な差が認められた。
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