研究課題
本研究は、ALSの口腔苦痛症状の原因を明らかにし、苦痛緩和のための看護のケアにつなげることを目的に実施した。そのため、1.ALSの口腔症状と臨床指標との関係の分析、2.ALSとALS以外の神経疾患との口腔症状の比較、3.重度な口腔症状を評価するための機器・器材の検討、の3点について検討した。最終年度の成果は下記のとおりである。1-1.人工呼吸器装着下にあるALSは、意思伝達能力障害ステージの進行度が速い群で舌肥大が出現しやすい傾向があり、代謝異常が生じている可能性を示した。1-2.ピークフロー(CPF)の低下率はALSの球麻痺症状と呼吸機能を反映し、生命予後を予測する指標となりうる。1-3.CPFが270L/分から160L/分に低下するまでの期間でALSの重症度が加速しやすい傾向にある。1-4.発症からCPF低下と胃瘻造設までの期間はほぼ同じであった。1-5. 1-2.3.4の結果から、CPFはALSの重症度と関連しており、定期的な病状評価と経管栄養導入の方針の確認、気道クリアランスのためのケアが必要であることが示唆された。2-1.ALSとALS以外の神経疾患を比較した際、舌肥大はALSに特徴的であること、DMF歯数が高く、病初期からの口腔衛生が必要であることが示唆された。2-2. 在宅で24時間非侵襲的人工呼吸を行いながら、経口摂食しているDuchenne型筋ジストロフィー者の呼吸機能は経年的に低下していたが、最大強制吸気量としての舌咽頭呼吸後の肺活量およびCPFは保たれていた。適切な呼吸リハビリテーションを継続することで、QOLの高い生活を維持できる可能性があることが示唆された。3-1.重度な口腔症状を測定する機器や器材はなく開発を目指すこと、ALSの口腔症状と各臨床指標との関連をさらに確認していくことが今後の課題である。
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Journal of Neurology
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