研究課題/領域番号 |
16K12111
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研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
清水 清美 城西国際大学, 看護学部, 教授 (70323673)
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研究分担者 |
仙波 由加里 お茶の水女子大学, ジェンダー研究所, 特任リサーチフェロー (00565872)
久慈 直昭 東京医科大学, 医学部, 教授 (80169987)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 非配偶者間生殖い医療 / telling / 親の課題 / ドナーの課題 |
研究実績の概要 |
国内調査 ①AID子を授かった16名の親に「tellingに関する親の課題」についてアンケート調査を行った。telling前の主な課題には、<親子の容姿に対する周囲の発言への対処><あえてtellingすることへの躊躇><告知の時期・告知の方法><telling時の子の反応への対処>、telling後の主な課題には、<子からの質問への対処><子自身が周囲のネガティブな反応に対処して行くための支援><子が孤立しない支援><子の近親婚を避けるための対処>があった。②2名の精子提供者(匿名を前提に提供1名・知人のレズビアンカップルに提供1名)に「ドナーの情報開示」についてインタビュー調査を行った。双方とも、<子どもの利益を考えれば匿名のドナーを使うべきでない><「生まれた人からの認知請求はできない」とする法的な確約が必要>と指摘した。また、前者は、<ドナーとAID子の思いを中立的に聞く公的な人や機関の存在の必要性>、また、精子提供者であった事実を妻や実子と共有することに困難があった体験から<素性を明かせる人のみドナーとなるべき>と指摘した。後者は、<実施前にカップルとともに生まれる子とドナーとの関係について熟慮する><契約書を作成し年に1回の更新で議論する>を述べた。 国外調査 HART Act(2004年)の施行以前より、提供型治療によって出生した子の「出自を知る権利」の保障を実現しているニュージーランドにて、当事者(親・生まれた人・ドナー)を対象に「出自を知る権利」が保障される要因について調査を行った。<tellingを含めた親のオープンな態度><様々な家族を受け入れる社会><ドナーへのインフォームドコンセント><ドナーと生まれた人を調整するカウンセラーの存在><法律の制定とシステムの確立>が挙がった。また、カンタベリー大学のダニエルズ氏より日本のDI事情について助言を受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、少数ながら国内外における非配偶者間生殖医療で親になった人、精子提供者になった人の調査を実施することで、彼らが直面する課題やニーズについて概観をつかむことができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、上記調査を継続するとともに、文献レビュー、関連団体への調査、自助グループへの調査を実施し、情報提供冊子作成への構成要素を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度に実施したニュージーランドでの、ドナーや親へのインタビュー調査のテープ起こしが一部未処理となっている。また、国内における、親やドナーを中心とした調査では、対象者の人数が少人数にとどまった。
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次年度使用額の使用計画 |
ドナーや親へのインタビュー調査を実施し一部未処理のテープのテープ起こしを実施する。さらに29年度は、国外の文献や、国外の自助グループから教材を取り寄せ、翻訳等を実施する予定である。
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