研究課題/領域番号 |
16K12111
|
研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
清水 清美 城西国際大学, 看護学部, 教授 (70323673)
|
研究分担者 |
仙波 由加里 お茶の水女子大学, ジェンダー研究所, 特任リサーチフェロー (00565872)
久慈 直昭 東京医科大学, 医学部, 教授 (80169987)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | AID / 出自を知る権利 / 教材 |
研究実績の概要 |
AIDを選択し子どもへの告知(以下tellingとする)を前向きに考えている人の体験記を、AIDを標榜している自助グループの協力を得て13事例を収集した。 13事例中、親になった人は12名、その内tellingを開始している人は8名だった。また、2名は国外に在住または在住中に実施しており、精子バンクや医療者を通してオープンドナー(子どもが望めば将来ドナーとなんかかの接触が可能な非匿名の精子提供者)を選択していた。AIDを実施する前に、直接口頭でまたは著書や新聞記事等で、大人になって事実を初めて知ったAID子の体験を見聞きした人は12名、子どもが生まれてから見聞きした人は1名だった。 tellingする理由は、「AIDと告知はセット」「親は子どもの気持ちや未来に正直に向き合っていくべき」「子どもたちが自身の出自を受け入れられるようにしたい」「告知をしたうえでできる限り子どもを支えていきたい」等、<正直な家族関係を築きたい>と考えていた。初めてのtellingは、子どもの年齢が、2歳、4歳と幼いうちに開始している人が多く、telling方法は<絵本や紙芝居など教材を用いている>3名、<自分の言葉で話している>3名だった。その後のtellingは、<ことあるごとに話題に出す><お誕生日など家族の大切な日に話すようにしている>だった。オープンドナーを選択した2名のうち、1名はAIDを実施した施設の協力を得て生まれた子とドナーとの間で手紙のやりとりが開始しており、1名はNPO(精子提供者・生まれた子・産んだ親の当事者の団体)を通して同じドナーから生まれた異母兄弟の親との交流が始まっていた。 本体験記は、執筆者の考えを尊重しながら、プライバシーや個人情報保護に十分留意しながら現在校正を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
所属機関では新規事業(助産師課程の開設)を担当しており、打ち合わせや会議等があった。また私的には老親が要支援1から要介護3となり家庭内介護が急遽必要となり、特に海外に関する情報収集の時間が確保できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
生まれた人に真実を伝えていきたい(telling)を考えている精子提供者やAIDで親になった人の体験記の収集はほぼ完了しており、今後は教材作成のための校正の段階である。今後、AIDに関わる専門家の意見を含め10月までには教材の完成を目指す。教材は主要にAIDおよび不妊治療実施施設、不妊自助グループに配布する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
教材作成(協力者への謝金、編集者への支払い、印刷代)および成果物の主要機関への郵送代として使用予定である。
|