研究課題/領域番号 |
16K12173
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
近藤 好枝 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 教授 (90234955)
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研究分担者 |
安田 恵美子 慶應義塾大学, 看護医療学部(信濃町), 准教授 (10249055)
辻 恵子 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 准教授 (30338206)
原田 通予 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 講師 (40459673)
藤本 久江 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 助教 (40773495)
梅本 かおり 帝京平成大学, ヒューマンケア学部, 助教 (70637446)
大田 康江 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (80650134)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自然分娩 / 正期産 / 分娩第Ⅱ期 / 周産期リスク |
研究実績の概要 |
1985年WHOによる周産期ケアの見直しを契機に、分娩を病態と捉えてリスクの低減を目指す医療的分娩から、正常経過においては、生理的機能の多様性と女性の主体性を尊重する分娩へとそのあり方が変化した。しかし、実際には、正常経過についても、子宮口全開大から出産までの分娩第Ⅱ期の持続時間には上限が設けられ医療介入がなされている。 Cesario(2004)は、正常分娩を対象に各期の平均時間を再評価すること、分娩時間と母子のリスク発生率との関連を明らかにすることを目的に横断研究を行っている。分娩各期の平均時間は、1954年のフリードマンの子宮開大曲線と同様であったが、初産婦のなかには分娩第Ⅱ期が2時間を越えても母児ともに良好に出産したケースが存在したことから、対象の特徴や技術の進歩に応じた分娩進行時間の改訂の必要性を提案した。アメリカ産婦人科学会(2014)は、Zang(2010)らの大規模研究をレビューし、現代の初産婦の子宮頸管開大速度はフリードマンの標準速度より緩徐であり、これを容認するならば医療介入が低減し、ひいてはリスク低下に繋がる可能性があるとの見解を示した。分娩第Ⅱ期持続時間とリスク発生率との関連については、Chengら(2004a)やJanni(2002)が初産婦を対象に後方視的コホート研究を行い、分娩第Ⅱ期が2時間以上の群では、帝王切開および会陰切開率、オキシトシン使用率、分娩時異常出血の割合が高かったことを報告している。しかし、分娩第Ⅱ期持続時間と新生児リスクとの関連について見解は一定していない。また、自然分娩を対象にした研究はほとんど認められない。 今年度は研究方法を確定した。分娩第Ⅱ期持続時間を2時間未満と2時間以上に層別し、サンプルサイズを1240名とした。研究計画ならびに研究倫理申請書を慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科研究倫理審査委員会に提出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分娩第Ⅱ期持続時間と母体・ 新生児の周産期リスク発生率に関する国内外の文献評価、分娩第Ⅱ期持続時間に影響する要因、分娩第Ⅱ期持続時間の延長と母体・新生児のリスク発生のメカニズムに関する文献検討など、計画どおり進んでいる。慶應義塾大学大学院研究倫理審査委員会へ研究倫理申請書を提出した。あわせて研究協力施設への申請準備も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
慶應義塾大学大学院研究倫理審査委員会の承認を得る。研究方法および個人情報保護方針について、専門家の助言を得ながら方法論を確定する。その後、研究協力施設の倫理審査委員会へ申請書を提出し承認を得る。神奈川県内の総合病院お産センターおよびバースクリニックにおいてデータ収集を行う。データの中間集計と分析をすすめ、関連学会に成果を報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度当初の計画時よりも、研究に必要な物品等の調達を安価に行うことができたため、次年度に使用する研究費が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
①国内での研究成果の発表、施設(神奈川県内)との研究打合せ、臨床試験審査委員会への出席および1,300例のデータ収集のための交通費として支出する。②収集したデータならびに資料をPDF化して保存するためスキャナ、および資料印刷のためのプリンタ、資料廃棄のためシュレッダーを購入する。③統計解析に関する専門家への協力依頼、データ収集等、研究補助者への謝金として支出する。
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