平成30年度は、①平成29年度に実施した、褥瘡発生リスクの高い高齢患者の身体的特徴および褥瘡好発部位の皮膚生理学的指標の特徴に関するデータ収集の結果の分析、②訪問看護師のインタビュー調査から判断やケアの実態の明確化、③①②を統合し、在宅褥瘡ケアにおける訪問看護師の判断とケアのガイドラインの開発を行った。 ①について、高齢患者において、褥瘡発生リスクをより高くするのは、身体的特徴については、血清ALB値の低下、褥瘡好発部位の皮膚生理学的指標値については、皮膚弾力値の低下、仙骨部皮膚厚の減少および皮膚紅斑レベルの高値であることが明らかとなった。 ②について、高知県内の訪問看護師4人に、褥瘡を保有する在宅療養者に対し、どのような判断のもと、どのような治療・ケアを決定し、行動をとったのかについて、インタビューによる聞き取り調査を行った。計8事例のデータを収集し、分析した結果、訪問看護師の判断には、「保有褥瘡の状態と局所治療薬およびドレッシング剤の選択」「褥瘡危険因子および生活状況を踏まえた適切な支援体制」があった。ケア内容として、「ケアマネジャー(以下CM)を中心に多職種で話し合い、治癒につなげる」「生活に潜む治癒遅延要因を見極め、要因除去に取り組む」「長期間、根気よく療養者にかかわり続け、褥瘡が再発しない体制を作る」「栄養摂取も取り入れて治癒につなげる」があった。 ③について、「褥瘡危険因子および生活状況を踏まえた適切な支援体制」において、従来の褥瘡危険因子とされている「日常生活動作能力」「関節拘縮」「栄養状態低下」「皮膚湿潤」「浮腫」「スキンテア」に加え、「皮膚弾力値」「皮膚厚」「皮膚紅斑の程度」も加えたガイドラインにした。
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