研究実績の概要 |
2018年度は、スライド教材とクリッカー、チューター役と認知症高齢者役Pepperを組み合わせて双方向に内容提示できる教材の効果を確かめることができた。 今年度は、S市の小学校2校の3,4,5年生64名を対象に、小学校の総合的な学習2コマを使って4段階で学ぶ内容とした。第1段階は知識を学ぶため、小学生がスライド教材で高齢者の肯定的理解を深めたのち、認知症についての理解を促す。第2段階は適切な態度を理解するため、接し方のポイントを地域の見守り専門職から説明を受けた。第3段階では、認知症高齢者役に見立てたPepperとの接し方を通して、認知症高齢者への具体的な声かけや接し方を実践的に学習できる内容とした。第4段階では、市の認知症高齢者見守りシステムについての紹介を行い、認知症の症状や接し方のポイントを確認した。小学生の理解を確認するため、学習途中でPepperから高齢者および認知症に関するクイズを出し、小学生にクリッカーで答えてもらった。学習の効果は、作成した評価指標を用いて学習前後で認知症への理解度や態度、認知症高齢者への支援力の比較を行った。学習前後の比較では、7項目中4項目「認知症は誰でもなり得る病気」、「認知症で困っている人を見かけたら大人に伝えることができる」、「認知症の人にどう声かけをすればよいかしっている」、「S市での認知症の人を見守る方法についてしっている」について、有意に「はい」と答えた小学生の割合が増えていた。自由記載からは、認知症予防への関心や質問などがみられた一方で、Pepperの話し方が聞き取りにくいなどの課題が明らかになった。 研究成果については、国内外に発信し、複数の研究者より本プログラムへの意見を聴くことができた。本プログラムの長期的な効果をみるため、6か月後に再度質問紙調査を実施予定である。
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