研究課題/領域番号 |
16K12402
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
狩野 裕 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20201436)
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研究分担者 |
岩崎 学 成蹊大学, 理工学部, 教授 (40255948)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 欠測メカニズム / NMARness / APB / セミパラメトリック法 / 統計的因果推論 |
研究実績の概要 |
1. Kano(2015) の理論的拡張を行った.欠測メカニズムと観測変数間の因果関係とが独立にバイアス評価に関与する状況の数学的本質を一部解明した.そのカギはshared-parameter model の特定化にあると考えていたが,医学統計学でしばしば登場する代替特性モデルにおいては,ある意味で欠測メカニズムに依らず,バイアスの増減が評価できることを証明した. 2. 狩野(2014) は,MAR より弱い条件を提出し,その下でMLE の推定方程式の不偏性を証明した.本研究課題においては,MAR とその条件との隙間を示す具体例を提示した.この事実はMAR 緩和の価値を示す.さらに弱い条件についての研究が進行中である. 3. Kano(2011) は,「MARが性質しない程度」を量的に表現したNMARnessを,推定方程式の不偏性等式が成立しない程度として定義した.現在のところNMARness の理論的性質は限られたモデルでしか分かっていない.その原因は欠測メカニズムの多様性にある.ここでもshared-parameter model が有意な役目を果たすことを指摘した.NMARness と他の概念との関連を理論的に検討した. 4.MAR が成立しないとき欠測メカニズムを用いないMLE のバイアスの構造を研究するために,狩野は近似理論を用いてApproximate Population Bias(APB) を定義した.APBは理論的には正しく機能するが,複雑なモデルに対してその大きさを評価することが困難であることが分かってきた.本テーマは現在研究が進んでいる. 5. 欠測値問題における欠測メカニズムの特定においてセミパラメトリック的接近を採用し,欠測メカニズムに要求される制限的仮定を緩和した下での推測方法を発展させた.統計的因果推論は欠測値問題である.広い条件の下での二重頑健化推定量の推定効率を検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた5つの研究テーマの中で三つが予定通り進行しており,他の二つについても予定の50%は進行しているため
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今後の研究の推進方策 |
申請時の研究計画に従って進める.H28年度の研究課題を解決するとともに,補助変数導入の有効性の検討(1)および(2),欠測値問題へのアプローチを外れ値問題へ応用する.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年計画していた外国人の招へいした国際招待セッションが,招へい教授の都合により,次年度に延期されたため.
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次年度使用額の使用計画 |
国際招待セッションはH29年度開催のIFCS2017において実施する.
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