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2017 年度 実施状況報告書

脳機能計測法による乳幼児の音声知覚・発話産出の発達の関係と育児語の機能の研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K12451
研究機関長岡技術科学大学

研究代表者

秋元 頼孝  長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (00555245)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード近赤外線分光法 / 子音の弁別
研究実績の概要

昨年度に作成した母国語(/ba/, /ga/)および非母国語(/la/, /ra/)の音声刺激を用いて、5.5か月の日本人乳児を対象に順化・脱順化法による行動実験を行った。分散分析の結果、刺激の種類の主効果が有意であり、また刺激の変化の主効果が有意傾向であった。交互作用は有意ではなかった。しかしながら、刺激の種類ごとに刺激の変化について計画的比較を行った結果、/b-g/では有意な効果を認める一方、/l-r/では有意な効果は認めなかった。これらの結果は、5.5か月児は/b-g/も/l-r/も弁別している可能性が高いが、/l-r/の弁別は/b-g/の弁別よりも難しいことを示唆していると考えられる。
また、昨年度前倒しで実施した5.5か月児を対象とした近赤外線分光法(NIRS)実験のデータ解析を行った。その結果、/l-r/の変化に対しては右聴覚野近辺のチャンネルで有意傾向が得られるのみであったのに対し、/b-g/の変化に対しては左下前頭回付近のチャンネルおよび両側の聴覚野近辺のチャンネルでベースラインと比較して有意な活動の上昇を認めた。/b-g/の条件と/l-r/の条件を統計的に比較した結果、左下前頭回付近のチャンネルおよび右聴覚野近辺のチャンネルで有意な違いを認めた。この結果は、5.5か月児は/b-g/も/l-r/も弁別できるとは言ってもその脳内処理は大きく異なることを示しており、また、/l-r/の弁別は/b-g/の弁別よりも難しいことを示唆する行動実験の結果とも整合的である。
また、乳児に対する話しかけの脳機能計測の予備実験として、顔刺激に対する脳反応を簡易脳波計で計測できるかどうかを検討し、肯定的な結果を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究計画のうち、乳児を対象とした実験は当初の前提とは異なる結果が得られたため研究計画の見直しを行ったものの、5.5か月児と9.5か月児を対象とした行動実験・脳機能計測実験ともに実施済みでデータ解析もおおむね完了しており、当初の計画以上に進捗している。
一方、おとなを対象とした乳児に対する話しかけの脳機能計測実験については、研究代表者の所属機関の異動により機材を簡易脳波計に変更することとしたため、その性能の評価のための予備実験を行う必要があり、当初の計画と比べると遅れている。
両者を総合して、(2)おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

当初想定していた研究計画からの計画の変更を余儀なくされたことにより、先行研究の文献調査や研究の理論的枠組みを組み立て直す必要はあるものの、5.5か月児を対象として行った行動実験・近赤外線分光法(NIRS)実験の結果、乳児の言語発達に関する新たな知見が得られたため、今後は国際誌への投稿に向けて論文執筆を進める。
おとなを対象とした脳機能計測実験については、簡易脳波計による顔刺激に対する脳反応計測の性能評価の予備実験の結果が肯定的なものであったため、次に話しかける際の脳反応を簡易脳波計で計測可能かを予備実験により検討した上で、乳児に対する話しかけの脳機能計測実験を実施する。

次年度使用額が生じた理由

(理由)主に大人を対象とした脳機能計測実験の実施が遅れていることにより未使用額が生じた。
(使用計画)大人を対象とした脳機能計測実験の実施のために翌年度分として請求した助成金と合わせて使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Alpha band event-related desynchronization underlying social situational context processing during irony comprehension: A magnetoencephalography source localization study2017

    • 著者名/発表者名
      Yoritaka Akimoto, Hidetoshi Takahashi, Atsuko Gunji, Yuu Kaneko, Michiko Asano, Junko Matsuo, Miho Ota, Hiroshi Kunugi, Takashi Hanakawa, Reiko Mazuka, Yoko Kamio
    • 雑誌名

      Brain and Language

      巻: 175 ページ: 42-46

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.bandl.2017.09.002

    • 査読あり
  • [学会発表] 英単語認知時の脳活動の予備的検討2018

    • 著者名/発表者名
      佐々木辰彌, 秋元頼孝, 中平勝子
    • 学会等名
      教育システム情報学会2017年度学生研究発表会
  • [学会発表] 生後5~6か月の日本人乳児における/l-r/の弁別時の脳反応2018

    • 著者名/発表者名
      秋元頼孝
    • 学会等名
      新潟心理学会第54回大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 日本人乳児における/b-g/および/l-r/の弁別課題の脳反応2017

    • 著者名/発表者名
      秋元頼孝、高橋美樹、山根直人、柴田奈津美、幡野由理、森島三那子、山田玲子、馬塚れい子
    • 学会等名
      日本認知心理学会第15回大会
  • [学会発表] Neural response to /l-r/ contrast in 9.5-month-old Japanese infants2017

    • 著者名/発表者名
      Yoritaka Akimoto, Miki Takahasi, Naoto Yamane, Reiko Mazuka
    • 学会等名
      18th International Symposium on Advanced Intelligent Systems
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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