研究課題/領域番号 |
16K12451
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
秋元 頼孝 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (00555245)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 近赤外分光法 / 子音の弁別 / 対乳児発話 / 脳波計測 |
研究実績の概要 |
昨年度までに実施した母国語及び非母国語の音声刺激に対する乳児のNIRS実験において、9.5か月児では母国語の弁別時(/b-g/の変化)に対していずれのチャンネルでも活動の上昇を認められないという想定外の結果が得られていたが、5.5か月児においては左下前頭回および両側の聴覚野近辺のチャンネルで活動の上昇を認めたことから、9.5か月児で脳反応を認めなかったのは、成長に伴い体動が激しくなりアーチファクトがより多く混入したためではないかと考えた。そのため、アーチファクトをどのように除去するのが良いか検討を行い、最終的にkurtosis-based wavelet法を採用することに決定した。結局、9.5か月児では、統計的に有意とはならなかったものの、想定されたパターンの活動が一部のチャンネルで認められたことからこの手法が有用であると判断し、5.5か月児のデータにおいてもこの手法で最終的な解析を行った。この結果について、国際誌での発表に向けて論文の執筆を行っている。 また、乳児に対する話しかけの脳機能計測の実験を、大学生を対象として簡易脳波計により行った。実験では、提示された赤ちゃんと母親の写真に対して、心の中で話しかける(コントロール条件は心の中で独り言をつぶやく)という課題を行った。その結果、心の中での話しかけが指示されたタイミングで言語野が存在する下前頭回付近のチャンネルでシータ帯域のパワーの増加が認められ、また赤ちゃんや母親に話しかける条件では顔に対して反応することが知られる紡錘状回付近の左右のチャンネルでシータ帯域のパワーの増加が認められた。赤ちゃんに対する話しかけの条件と母親に対する話しかけの条件の比較でも異なった反応を認めたが、その結果を整合的に解釈できておらず、仮説の検証には至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
乳児を対象とした実験に関しては最終的な解析を完了しすでに論文執筆の段階である。一方、大人を対象とした乳児に対する話しかけの実験については、現時点で結果に整合的な解釈を与えることができていない。当初の仮説が間違っていた可能性もあるが、母親ではなく大学生を対象としている、簡易脳波計の性能が高くない、データ数が不足している等の理由が合わさって不安定な結果が得られている可能性も考えられるため、まだ研究を完了させる段階には至っていないと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
乳児を対象とした実験に関しては、国際誌での成果発表を目指し引き続き論文執筆を進める。大人を対象とした乳児に対する話しかけの実験については、追加でデータ収集を行い、仮説の検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)まだ論文執筆中であり、論文投稿に要する費用を支出していないことと、大人を対象とした脳機能計測実験の実施数が不足していることにより未使用額が生じた。 (使用計画)論文投稿に必要な英文校閲費や投稿費、および大人を対象とした脳機能計測実験の謝金に使用する。
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