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2016 年度 実施状況報告書

自己と外界との心理的境界が生み出す「不気味の谷」:計算論に基づく存在証明の試み

研究課題

研究課題/領域番号 16K12518
研究機関成蹊大学

研究代表者

植山 祐樹  成蹊大学, 理工学部, 助教 (30710800)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード仮想現実感 / 不気味の谷 / ラバーハンド錯覚 / 身体所有感 / 多感覚統合 / 神経科学 / 認知科学 / 神経生理学
研究実績の概要

本研究の目的は、ロボット工学における概念的仮説である「不気味の谷現象」の存在を自己意識と環境との不和による心理学的効果が作用する生理学的現象として証明し、その発生機序の理論モデルを構築することである。

平成28年度は、ヘッドマウント・ディスプレイ(HMD)によってラバーハンド錯覚(RHI)を発生させる仮想RHI実験装置を構築することを計画していた。仮想RHI実験装置とは、力覚提示装置によって周期的な刺激を被験者の腕に与え、HMDを介してコンピュータ・グラフィックス(CG)による手を被験者に提示することでRHIを発生させる装置である。その際に、HMDを通して人間との類似度、および知覚の不確かさを変化させることで、それらとCGの手に対して引き起こされる身体所有感との関係性を生理学的指標により計測し、不気味の谷現象の発生機序を明らかにすることを目指している。

今年度の実績として、仮想RHIを発生させるCGプログラム、および力覚提示装置の制御プログラムを製作し、基盤となる実験環境を構築した。しかし、研究代表者が所属機関を異動したこともあり、その効果を検証するため予備実験については十分に行えていない。そのため、次年度では早急に予備実験を実施する予定である。なお、予備実験では、仮想RHIとゴム製の装飾義手を使用した通常のRHIの効果を比較することで、通常のRHIと同様に仮想RHI環境においても身体所有感の変化が発生することを確認する。また、本実験で必要となる実験課題のプログラムの作成も現時点では不十分であることから、次年度で完全なものとするとともに、可能であれば早急に本実験へ移行する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成28年度は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)によってラバーハンド錯覚(RHI)を発生させる仮想RHI実験装置を構築することを計画していた。そこで、仮想RHIを発生させるためのコンピュータ・グラフィックス(CG)プログラム、および力覚提示装置の制御プログラムを製作し、基盤となる実験環境を構築した。

しかし、研究代表者が所属機関を異動したこともあり、その効果を検証するため予備実験については、現在までに行うことができていない。そのため、次年度では早急に予備実験を実施する予定である。なお、予備実験では、仮想RHIとゴム製の装飾義手を使用した通常のRHIの効果を比較することで、通常のRHIと同様に仮想RHI環境においても身体所有感の変化が発生することを確認する。

今後の研究の推進方策

仮想ラバーハンド錯覚(RHI)実験を健常者の被験者を対象に実施し、RHI発生と不気味の谷の関係を検証する。

そのために、仮想RHIとゴム製の装飾義手を使用することで、仮想RHIの影響を検証する予備実験を早急に実施し、仮想RHI実験装置においてもRHIが発生可能であることを確認する。その後、本実験で必要となる実験課題のプログラムを作成し、健常被験者10名程度を対象とした仮想RHI実験を実施する。
また、不気味の谷は心拍等の生理学的指標に影響を与えることが報告されていることに加え、RHIにおいて身体所有感が生じた際に、実際の腕の皮膚温が低下することから、本実験では、心拍および皮膚温に加え、被験者の精神状態を強く反映すると考えられる皮膚電位についても計測し、それらと被験者の内観報告に基づく身体所有感との関係を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

当初、平成28年度内に100万円程度の生理学データ計測用アンプを購入する予定であったが、研究代表者が以前に所属していた研究機関から借用したものを使用することで、早急に購入する必要性がなくなったため。

次年度使用額の使用計画

平成28年度の繰越金額は、今後の生理学データ計測用アンプの購入、および計画している実験の人件費・謝金として使用する。

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公開日: 2018-01-16  

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