鉱物中のUやThがα壊変する際に,親元素が反跳することによって結晶中に傷が生じる。このαリコイルトラック(ART)を利用した年代測定法の確立を目指し,年代既知試料の原子間力顕微鏡観察とU, Th濃度測定を行い,ARTの観察面へのregistration 係数をARTの観察結果から仮定して年代値を計算したところ,概ね期待年代の25%程度の若い年代となった。ARTの認定基準や,年代式の吟味がさらに必要となる結果であった。またジルコン表面の波状構造をARTに起因するものと考えてアニーリング実験を実施したが,1000度1時間の加熱でも波状構造が残っておりアニーリングをうけにくい可能性が示された。
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