本研究課題では,術野を狭めることなく,かつ容易に臓器を圧排できる,腹腔鏡手術用の臓器圧排器具を新規に提案,試作した.提案する臓器圧排器具は,平面と立体とを可逆変化する構造に基づいて設計,開発した.素材としてポリエチレンナフタレート樹脂とポリエステル樹脂を用い,厚さが0.100mm,0.125mm,0.188mmの3種類でそれぞれ試作した.圧力差を利用した新たな強度評価試験手法を考案して評価した結果,試作した臓器圧排器具は,臓器圧排に充分な性能を有していることが示された.また,素材の種類による強度の差異は小さく,素材の厚さが臓器圧排器具の性能に与える影響の方が大きい知見が得られた.
|