半側空間無視は右側半球病変患者の約4割に出現し、そのリハビリテーションの妨げとなることが知られ、臨床例では3次元空間での姿勢変化が生じている。従来の方法はプリズムによる光の屈折を利用する為、前額面内で回転させることはできない。前額面の垂直認知にも問題があることを考えると、より効率的に治療するためには前額面も含めた空間で偏倚させた視野を付与することが望ましいと考えられる。本研究で開発されたHMDによるヴァーチャルリアリティ環境下でのアダプテーションは、従来の方法では変容できなかった前額面での認知的判断を制御できるため3次元空間上での不良姿勢を呈するような重症例への応用が可能であると考えられる。
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