研究課題/領域番号 |
16K13208
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
田中 琢三 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (50610945)
|
研究分担者 |
高橋 愛 法政大学, 社会学部, 准教授 (80557281)
中村 翠 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 講師 (00706301)
福田 美雪 (寺嶋美雪) 獨協大学, 外国語学部, 准教授 (90632737)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | フランス文学 / 文献学 / 政治思想 |
研究実績の概要 |
最終年度となる平成30年度は、エミール・ゾラの作品におけるモニュメントの表象に関する調査を続けながら、ゾラと同時代のモーリス・バレスの小説に登場するモニュメントとナショナリズムの関係についての研究を進めた。そして、その成果を平成30年10月21日に明治大学駿河台キャンパスで開催された日本比較文学会第56回東京大会において発表した、「モーリス・バレスとドイツ:モーゼル川流域の戦争モニュメントをめぐって」と題されたこの発表の内容は、今後、フランス語の論文にまとめて学会誌に投稿する予定である。平成30年11月22日にはお茶の水女子大学に東京理科大学准教授の中丸禎子氏を招聘して人魚姫のモニュメントにおけるナショナル・アイデンティティの問題を扱った講演「人魚姫像をめぐる人々」を開催した。本研究の総括として平成31年3月3日にお茶の水女子大学において公開の成果報告会を開催し、研究代表者の田中と3名の研究分担者がそれぞれ口頭発表および出席者との質疑応答を行った。 平成28年度から平成30年度まで3年間の研究期間全体の成果は以下の通りである。まず、ゾラやバレスの小説で表象されたモニュメントの物語的・思想的・政治的意味を探ることによって、文学作品においてモニュメントが果たすさまざまな機能を明らかにした。さらに、パリのパンテオンや戦没者記念穂などのナショナル・アイデンティティーを体現したモニュメントをめぐる文学者の言説を検討することで文学者とモニュメントが取り結ぶ政治的・イデオロギー的な関係性を浮き彫りにした。以上のような成果によって、モニュメントをテーマとした文学研究の可能性を切り開くことができた。
|