研究課題/領域番号 |
16K13217
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野町 素己 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 教授 (50513256)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | バナト・ブルガリア語 / 言語接触 / 歴史言語学 / 社会言語学 / 標準語形成 / 言語風景 |
研究実績の概要 |
本年度は、近年ルーマニア・セルビアで刊行されたバナト・ブルガリア語による文学作品、新聞、文法書、聖書などの資料を入手し、それらをもとにルーマニア語、ハンガリー語、セルビア語の影響とみられる言語構造および文章語としての規範のありかたについて、特に社会状況の変化との相関との観点から分析を行った。その成果の一部は、米国のスラブ語学者ウェイルズ・ブラウン氏との共著論文"Newly Recognized Old Languages: Ausbau Languages and their Changes after the Disintegration of Yugoslavia"(2019)として、特にボスニア語の状況と比較して論じた。また、セルビア科学・芸術学士院付属バルカン学研究所のビリヤナ・シキミッチ上級研究員と、セルビアおよびルーマニアのバナト・ブルガリア人の全墓地で収集した墓碑銘の整理を行い、現在は、多言語地域における言語の相互関係の動態を踏まえた言語風景にかかわる共著論文を執筆中である。 そのほか、研究代表者のイニシアティブで2018年10月にモスクワ大学文学部スラブ学科と国際ワークショップ「社会における規範文法のあり方と役割:スラブ諸語を題材に」を組織した。現在は、その研究論文集の編集作業をしており、そこではバナト・ブルガリア語の昨今のアマチュアによる文法書が現地社会において規範文法の役割を果たしうるかなどが論じられている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、これまで密接に協力関係にあった現地協力者の相次ぐ他界などにより、現地調査での予定に変更が生じたが、その一方これまで収集してあった多くの資料の分析を深めることができたため、研究自体の遅れはそれほどではない。
|
今後の研究の推進方策 |
1年の延長が認められたため、改めて現地協力者を開拓し、これまでと同等の資料収集が維持できるようにする。同時に、これまで収集した資料と分析結果をもとに、様々な媒体で研究成果を開示していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
緊密にしていた現地協力者が相次いで他界し、予定通りに現地調査が行われなかったため。
|