銘文をもとに、神獣鏡の作者の流派を大きく4期に区分した。第1期は、2世紀に四川にて広漢派が成立し、環状乳神獣鏡を創作した段階である。第2期は、180年代に呉郡の「張氏元公」や「盖方」らが広漢派の環状乳神獣鏡を模倣し、190年代にそこから同向式、対置式、重列式という3種類の神獣鏡が生みだされた。第3期には215年ごろ浙江に会稽派が出現し、第2期におこなわれた3種類の神獣鏡を模倣し、干支を用いて鏡の鋳造年月日を表示することに異常な能力を発揮した。第4期は呉派と会稽派が主に対置式神獣鏡を制作した。252年に孫権が崩じると、後継の皇帝たちは「黄武」や「黄龍」など呉建国時の年号を追頌した鏡を制作した。
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