本年度は、高知県に焦点を絞ってヒアリングを行った。善通寺の第14旅団司令部では、遺体対応について明文化されたものはなく、おそらく各連隊レベル、中隊レベルでもマニュアルのようなものはないが、東日本震災の経験もあり、訓練もしているのでノウハウに問題は感じておらず、生存者発見優先で対応することになる。南海トラフ地震の被災規模予想は甚大なので、警察や消防と連携することになるだろうが、それは阪神淡路で経験済みであり、あとは米軍との連携が残るが、これは旅団より上のJTFの問題等を教わった。高知県庁は県警、市、火葬場長らにも声をかけてくれたため、担当者全員集合状態でのヒアリングができた。遺族へ遺体の引き渡し方が生活再建に影響するという考え方が市の遺体取り扱いマニュアルにも明記されており、参考になった。現場の感覚を実感したのは火葬場の処理能力と遺体の(火葬を待つ間の)保管の仕方の問題を教わったときに感じた。また、高知でのヒアリングに触発されて、熊本赤十字病院に黒エリアのマネジメントについて、熊本地震時の対応を中心にヒアリングした。DMORT(災害死亡者家族支援チーム)研修を受けた看護士が黒エリアを担当し、そのときの家族支援について、死に至る経過を説明できる交通事故死と災害死は決定的に遺族の受け止めが異なることを教わった。 これらのヒアリングをテキストマイニングにかけるための器財は整えたが、テープ起こしが終了した段階で終わってしまった状況である。
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