過去2年のデータ収集を経て最終年度は研究をまとめる作業を行った。広域連携埋火葬を次の4つのパートに分けて検討した。すなわち①被災現場での行方不明者の捜索~トリアージ②遺体収容所における検案・検視~エンバーミング~火葬許可交付③火葬④遺族への引き渡し・身元不明分の保管である。 ①遺体は行方不明者の捜索活動中に発見される。生存者発見が優先されるはずだから捜索中に発見された被災者は1次トリアージを受けて生存と判断された場合の移送班と死亡と判断された場合の移送班との連携が必要になる。生存者は2次トリアージを受ける救護所へ搬送される。このステージで連携するのは、警察、消防、自衛隊、医療機関、現地災対が中心である。 ②は最も計画で想定されているステージであり、警察や医療機関、埋葬許可や罹災者台帳を作成する行政との連携が想定されている。 ③このステージにおける連携は事前計画の意味がほとんどない。生き残る火葬場の最大処理量と予想需要が桁違いに合わないからである。死者を減らすしかないのが現状である。基礎自治体は県の調整を待つことになるが、県から指定された火葬場までの運搬手段、ガソリンなど東日本震災で生じた問題が繰り返され、土葬もあり得るだろう。本研究では、火葬船を提案したが、船は立地を選ばないので需給が最も不均衡な地域の港湾付近へ運び、ヘリでピストン輸送すれば陸路の状態に影響を受けずに対応できると考えた。 ④行旅死亡人の扱いは、今後の対策の重要ポイントになる。海から上がってくる身元不明遺体の膨大な数は、市町村の遺体処理業務を大きく圧迫するだろう。
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