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2018 年度 実施状況報告書

子どもの貧困の連鎖を断ち切る「食でつながるコミュニティ」創出の研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K13446
研究機関日本福祉大学

研究代表者

野尻 紀恵  日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (70530731)

研究分担者 河村 美穂  埼玉大学, 教育学部, 教授 (00361395)
石田 賀奈子  立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (50551850)
中島 修  文京学院大学, 人間学部, 准教授 (80305284)
田村 真広  日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (90271725)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード子どもの貧困 / 食でつながる / コミュニティ / スクールソーシャルワーク / 居場所支援
研究実績の概要

本研究では、これまで福祉教育研究領域において人の変容に着目した研究実践のある研究者と実践者がチームを組み、「食でつながるコミュニティ」の現場に焦点化することで、子どもの貧困の連鎖を断ち切るための具体的な実践アプローチプログラムを提示するという緊急課題に応える研究に挑戦してきた。前年度までに、現場実践を丁寧に観察し、記録、分析を行った。学習支援のみでは決して変容しきれない生活の現状を、関わる人の相互作用によって包摂と希望の連鎖に転換させる可能性を検証してきた。そのために、5つの調査研究を実施することを計画した。研究(1)学校現場で現れる子どもの貧困の実相を明らかにする事例に関する調査。研究(2)貧困に育つ子どもや家族を対象とした学校や地域での支援に関する実態調査。研究(3)「食でつながるコミュニティ」の先駆的実践事例に関する調査。研究(4)「食コミュニティ」とスクールソーシャルワーカーの先駆的連携事例に関する調査。研究(5)子どもの貧困の連鎖を断ち切る地域・学校連携の実践アプローチのあり方の作成。平成29年度までに、研究(1)(2)(3)まで進めることができた。
平成30年度は、前年度に積み残した、研究(4)「食コミュニティ」とスクールソーシャルワーカーの先駆的連携事例に関する調査を実施した。
以上の研究成果を、研究代表者および研究協力者が、それぞれに日本福祉教育・ボランティア学習学会の研究紀要に論文として発表することができた。また、研究代表者は、日本福祉教育・ボランティア学習学会の研究大会において学会発表(口頭)を行うことができ、研究成果を発信する機会を得た。しかし、予定していた 研究(5)子どもの貧困の連鎖を断ち切る地域・学校連携の実践アプローチのあり方の作成、については、平成30年度内に実施することができなかったため、研究の延長を申請した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究(1)については、学校で現れる子どもの貧困の実相を、質的に明らかにすることができた。また、研究(2)では、学校を基盤とした子どもの貧困支援の実相を示すことができた。さらに、研究(3)については、研究代表者、研究分担者、研究協力者等の人的ネットワークを活かし、5カ所の「食でつながるコミュニティ」を観察・エピソード記録を実施することができた。この結果を踏まえ、今年度は研究(4)を実施することができ、SSWと地域社会資源が密接に連携し、子どもの貧困の連鎖を断ち切るための支援を展開している先駆的事例を参加者の変容の視点から分析した。
以上の研究成果を、研究代表者および研究協力者が、それぞれに日本福祉教育・ボランティア学習学会の研究紀要に論文として発表することができた。また、研究代表者は、日本福祉教育・ボランティア学習学会の研究大会において学会発表(口頭)を行うことができ、研究成果を発信する機会を得た。
しかし、研究(5)子どもの貧困の連鎖を断ち切る地域・学校連携の実践アプローチのあり方を作成し、実践現場へのフィードバックを通して、より実現可能な実践アプローチにブラッシュアップを図る予定であったが、できなかった。そのため、予定していた報告書の作成にまで至らなかった。
理由として、上述の研究(1)から(4)までに予定以上に時間を費やすことになったことが挙げられる。フィールド調査に時間を費やし、積み重ねたエピソードについて、本研究に関わる研究者一同が十分に議論する時間を持つことができなかったことが原因であると考える。

今後の研究の推進方策

子どもの貧困はそれのみで存在することはあり得ず、生家族を単位として現れる貧困を、そこに生きる子どもに焦点化したものである。そうすることによって、貧困に生きる子どもの育ちと発達の保障に必要となる支援を具体的にし、貧困の連鎖を断ち切る実践アプローチが可能となると考え、本研究を立ち上げた。
本研究では、福祉教育研究領域において人の変容に着目した研究実践のある研究者(教育学及び社会福祉学)と実践者がチームを組むことにより、「食でつながるコミュニティ」創出という住民の主体形成を担う社会教育と、地域の生活における「子どもの貧困の連鎖を断ち切る」という課題の解決を担う地域福祉を結びつけ、福祉教育との関連の中で「子どもの貧困」を捉え、「子どもの貧困の連鎖」を断ち切ることに立ち向かう方法を提案することに挑戦したものである。この研究者集団の強みを活かし、議論を重ねる時間を定期的に持つことを実践する予定である。
そして、議論から生まれた、重層的な視点を用いて、子ども・若者を中心に据えて格差や不平等を解消するという視座からのアプローチを追求し、新たな連帯を醸成するコミュニティ活動や、人と人との繋がりを紡ぎ出し誰もが排除されない地域をつくる実践活動の方法を提案するために報告書を作成する。

次年度使用額が生じた理由

本研究では、研究(1)学校現場で現れる子どもの貧困の実相を明らかにする事例に関する調査、研究(2)貧困に育つ子どもや家族を対象とした学校や地域での支援に関する実態調査、研究(3)「食でつながるコミュニティ」の先駆的実践事例に関する調査、研究(4)「食コミュニティ」とスクールソーシャルワーカーの先駆的連携事例に関する調査、研究(5)子どもの貧困の連鎖を断ち切る地域・学校連携の実践アプローチのあり方の作成、を実施する予定であった。研究(1)から(4)までに予定以上に時間を費やすことになったことが、理由として挙げられる。フィールド調査に時間を費やし、積み重ねたエピソードについて、本研究に関わる研究者一同が十分に議論する時間を持つことができなかったことで、次年度使用額が生じることになった。
福祉教育研究領域において人の変容に着目した研究実践のある研究者(教育学及び社会福祉学)と実践者がチームを組むという強みを活かし、議論を重ねる時間を定期的に持つことを実践する予定である。そして、議論から生まれた、重層的な視点を用いて、子ども・若者を中心に据えて格差や不平等を解消するという視座からのアプローチを追求し、新たな連帯を醸成するコミュニティ活動や、人と人との繋がりを紡ぎ出し誰もが排除されない地域をつくる実践活動の方法を提案するために報告書を作成する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (5件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 食をともなう子どもの夜の居場所のケース・スタディ : 社会関係の紡ぎ直しの検討 (特集 食でつながるコミュニティ)2018

    • 著者名/発表者名
      野尻紀恵
    • 雑誌名

      日本福祉教育・ボランティア学習学会研究紀要

      巻: 31 ページ: 44-58

  • [雑誌論文] 人とヒトが食でつながるということの意味2018

    • 著者名/発表者名
      河村美穂
    • 雑誌名

      日本福祉教育・ボランティア学習学会研究紀要

      巻: 31 ページ: 78-89

  • [雑誌論文] 「要町あさやけ子ども食堂」と「夜の児童館」のケース・スタディ : 食のある居場所が有する〈内なるちから〉2018

    • 著者名/発表者名
      田村 真広
    • 雑誌名

      日本福祉教育・ボランティア学習学会研究紀要

      巻: 31 ページ: 30-43

  • [雑誌論文] 食でつながるコミュニティにおける「食」の可能性 : 石部南学区まちづくり協議会にぎわい広場カトレアのケーススタディー2018

    • 著者名/発表者名
      土屋 匠宇三
    • 雑誌名

      日本福祉教育・ボランティア学習学会研究紀要

      巻: 31 ページ: 19-29

  • [雑誌論文] 食でつながる「子ども村 : 中高生ホッとステーション」の実践の特長と可能性 : 岡村福祉教育理論に基づく分析を通して2018

    • 著者名/発表者名
      中島 修
    • 雑誌名

      日本福祉教育・ボランティア学習学会研究紀要

      巻: 31 ページ: 8-18

  • [学会発表] 食をともなうコミュニティ創造のプロセスにおける参加者の変容2018

    • 著者名/発表者名
      野尻紀恵
    • 学会等名
      日本福祉教育・ボランティア学習学会第24回あいち・なごや大会

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公開日: 2019-12-27  

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