本研究は、成人の分数の心的表象がどのような構造をしているのかを明らかにするために行われた。分数は数理解において中心的なトピックスであるにも関わらず、分数表象についてはまだ十分に明らかになっていない。 研究1~3の結果からは、本研究で新しく用いた直後系列課題において量の類似性効果が見られ、分数が量に基づいて表象・記憶していることが明らかになった。一方で、量の類似性効果と大小判断課題と数直線推定課題との相関は見られず、分数の認知処理は課題ごとに固有のプロセスを持つ可能性が示唆された。また、研究4~5では、数直線課題を用いて基準分数の特定を試みた結果、1/2と1/3が基準分数である可能性が示された。
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