研究課題/領域番号 |
16K13476
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研究機関 | 産業能率大学 |
研究代表者 |
番田 清美 産業能率大学, 経営学部, 准教授 (40646246)
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研究分担者 |
佐藤 達哉 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (90215806)
安田 裕子 立命館大学, 総合心理学部, 准教授 (20437180)
上淵 寿 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20292998) [辞退]
杉森 伸吉 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60266541)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | キャリア発達 / 中堅大学 / アイデンティティ / 個別性 / 省察的自己覚知 / 混合法 / 複線径路等至性モデリング |
研究実績の概要 |
本研究では、大学全入時代において大学ランクの違いによるキャリア発達の差異を明らかにすることで、中堅大学の学生へのキャリア発達支援のあり方を検討した。下記の3点が明らかになった。 1.中堅大学の学生を対象に大学4年次の「就職活動の活性・結果の満足」「不活性・不満」の2群を比較した。前群は、大学入学時にアイデンティティの再構成(リセット)がみられたが、学年の上昇につれてアイデンティティ達成へと移動した。加えて、省察的自己覚知機能が優れていた。一方後群は、大学入学によるアイデンティティの再構成がみられないまま、学年の上昇に伴ってアイデンティティ達成とは逆方向に移行し、省察的自己覚知機能に問題が生じていた。 2.省察的自己覚知を刺激するとキャリア発達が促進されるのではないかと仮説を立て、中堅大学2年次学生に実験的検証を行った。自己のキャリア発達を俯瞰するワークショップを実施し、事前と事後にキャリア発達を測定した。被験者の4年次の就職結果を踏まえ、省察的自己覚知への刺激を与えることで、「就職妥協」群は自己の問題解決能力に関して楽観視が生じ、「成功」群は自己の問題解決能力に関する捉えなおし、つまり反省が生じていた。「未決定」群は刺激を与えてもキャリア発達は促されなかった。 3.中堅大学の学生、難関大学の学生、インドネシアの大学生を対象に、共分散構造分析にてキャリア発達モデルの比較を行った。最も顕著な特徴として、中堅大学の学生は、相互共感性がキャリア探索・関与に影響を及ぼしていたのに対し、難関大学の学生は個である感覚がキャリア構築関与に影響を及ぼしていた。一方、インドネシアの大学生は、個人内の発達課題よりも、社会的要因がよりキャリア構築の関与に影響を及ぼしていた。 本研究成果は、中堅大学の学生に対して、将来の共働者との違いも考慮したうえで、キャリア発達支援の指針となり得る点で、重要である。
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