本研究は、不快感情の制御に重要な迷走神経系を、経皮迷走神経電気刺激により活動亢進させ、不快感情とそれに伴う交感神経系・内分泌系・炎症の反応を抑制できるかを検討することを目的とした。しかし経皮迷走神経電気刺激装置が日本に輸入できないことが明らかになったため、1分間6回程度の深呼吸により迷走神経活動を活動亢進させる方法に変更して予備的研究を行った。この結果、この方法により迷走神経系活動を亢進できることが明らかになったが(研究1)、不快感情に伴う各種反応を抑制する効果は見られなかった(研究2)。これは、刺激強度が不足していたためと考えられ、今後より頑健な刺激方法を開発する必要が示唆された。
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