現在、電子デバイスで主流となっているチタン酸鉛ベースの強誘電体物質に代わるものとして、類似の結晶構造をもつチタン酸バリウムやチタン酸ストロンチウムが期待されている。これらの代替物質は、通常の結晶状態では強誘電体としての特性が実用十分ではないが、元素置換や格子歪みによって、安定な強誘電性を示すことが報告されている。本研究では、チタン酸ストロンチウムを曲げて誘起される強誘電性を放射光Ⅹ線を用いた分光測定で調べた。その結果、自発分極の増大は明瞭に結論できたものの、それらを秩序配列を打ち消す酸素八面体の反強的な回転歪みも同時に生じてしまうことが明らかになった。
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