量子計算には2種類の論理素子があればよい。本研究では音で働く論理素子を目指した。周波数の上下機能、音波の分割・統合・遅延、周波数を選んで透過・阻止する機能をもつ部品を設計・製作し、特性を評価した。複雑な造形は3次元プリンタを駆使した。計算単位のビットは周波数で意味づけられた波の重ね合わせと音のうなりを使って生成・操作した。その結果、より難度の高いゲートの動作を実装レベルで検証できた。しかし、計算に耐える性能には改善の余地が残った。この向上を前提とすれば検索アルゴリズム実装と「音で量子コンピューティング」は手の届く範囲にある。一方で秘匿性の情報伝送、光関連の応用展開に関する成果が得られた。
|