量子コホモロジーに現れる新しい可積分系を求めるために、未だ完全な形で定式化されていない無限次元旗多様体の量子コホモロジー環を出発点として研究を開始した。探索の鍵になると期待した数学的対象は、有限次元多様体の量子コホモロジーですでに知られていた可積分構造(フロベニウス多様体、D‐加群)、インスタントンモジュライから生じる母関数、戸田格子に関する様々な理論、そして2次元位相場理論の正境界付きの場合への一般化であった。いずれのアプローチにおいても具体的に有効性の認められる新事実の発見に至ることは出来なかった。
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