量子散逸系における非線形振動現象に対する位相縮約理論を構築した。近年のナノテクノロジーの進歩により、光-機械系やレーザー系など、量子力学的な効果が重要となるミクロな物理系の非線形振動と、その量子情報処理等への応用に興味が持たれている。古典物理系の非線形振動現象に対しては、系のダイナミクスを簡潔な位相方程式で表す手法である位相縮約理論が古くから発展しており、系の同期現象の解析に用いられてきたが、この手法は量子非線形振動現象には適用できなかった。本研究では、量子性がさほど強くない半古典的な状況に着目して量子非線形振動に対する位相縮約理論を定式化した。さらにこの理論を用いて系の同期現象を解析した。
|