平成30年度は、フィールド試験を行ってセンサーとしての特性の評価を行った。具体的には、宇宙空間で観測を行うものと同様のトップハット型のダイポールアンテナを光電界センサーに装着し、屋外に設置した上で、中波放送波を計測して、その強度を評価した。光電界センサーと並列して較正済みアクティブダイポールアンテナも設置して、測定データのreferenceとした。光電界センサーによる受信レベルを、これまでの評価で確立したアンテナ校正データを用いて電界値に変換してアクティブモノーポールアンテナで計測した電界レベルと比較を行い、トップハット型ダイポールアンテナを装着した光電界センサーが正確に電界を捉えていることを示すことができた。また、光電界センサーは、センサーと受信部が電気的に切れているため(光ファイバーで接続されているため)、伝導性のノイズの影響をまったく受けていないことも、アクティブモノーポールアンテナとの計測結果を比較して示すことができた。更に、これらの結果を踏まえて、実際の衛星に搭載して観測する場合の感度を見積もり、これまでの電界センサー感度と比較を行った。その結果、同等の長さのアンテナエレメント(15m)を用いた場合で、10kHz以上の周波数帯で、20dB以上の改善が必要であることがわかった。しかし、光電界センサーの科学衛星での利用では、アンテナエレメントの長さを短くすることを想定していため、5分の1のエレメント長(3m)では35dBの改善が必要となることがわかった。現状のままの光電界センサーでも比較的強度の高いプラズマ波動の観測には使用できるが、宇宙プラズマ中でのプラズマ波動電界成分の信号ダイナミックレンジは広いため、微弱なレベルのプラズマ波動を捉えるためには、ノイズレベルの改善が必須となる。以上の結果をまとめて、国際学会において口頭発表を行った。
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