本研究では,企業間取引データを用いて,(A)取引ネットワークが都市における企業の立地・集積に及ぼす影響を実証的に明らかにした.具体的には,取引ネットワーク中心性が高い企業ほど都市内の中心部に立地すること,その関係性が産業毎,都市圏毎に異なることなどを示した.また,(B)交通インフラ整備を契機とする企業間取引の変化が企業の生産性に及ぼす因果効果を傾向スコア差の差分析法によって推定した.その結果,新幹線駅や高速道路ICにより近く,大規模企業の側に立地している企業ほど,交通基盤整備の前後で仕入れ取引数を増加させやすい傾向や仕入れ取引数の増加が生産性に有意に正の影響することを明らかにした.
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