海洋植物起源有機炭素が実水域において数千年を経てどれだけ残存するのかは分かっていない.本研究では植物起源有機炭素残存率の推定を目的として,小川原湖の堆積物コアサンプルの脂肪酸を分析し,約9,000年前の層から植物のバイオマーカー脂肪酸LCFAsを検出した.さらに脂肪酸C26:0の炭素安定同位体比を用いて有機炭素を海起源と陸起源に分離した.なお,陸上植物はマコモ,海洋植物はアマモで代表させた.その結果,推定された海洋植物の有機炭素残存率は既往の研究で推定された残存率(40%)と近い値を示し,堆積物の脂肪酸炭素安定同位体比分析から海草起源の埋没する炭素量を明らかにできる可能性が示された.
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