研究課題/領域番号 |
16K14516
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
藤本 修平 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (80586686)
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研究分担者 |
金川 哲也 筑波大学, システム情報系, 助教 (80726307)
亀山 道弘 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (40373427)
宮田 修 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (10450678)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生物付着 / フジツボ / 超音波 / エコー / 保守管理 / スマートメンテナンス |
研究実績の概要 |
平成28年度には「浸漬試験による試験片の作成」,「生物付着試験片を用いた超音波エコー解析」,「3次元形状計測に向けた準備作業」および「実船舶での超音波計測」を実施した. 「浸漬試験による試験片の作成」では,寸法200 mm×190 mmの一般構造用鋼(SS400)に防食塗装を施した上,海水中に浸漬して表面に生物を付着させた. 「生物付着試験片を用いた超音波エコー解析」では,実際に超音波計測を実施した.作成した試験片の片面に超音波プローブを接触させ反射エコーの波形をパルサーレシーバからデジタルオシロスコープを介してノートパソコンに取り込む.航行中の船体内部からの計測を想定し,試験片の生物が付着した面を水面に接触させた状態で計測を行った.生物が付着した試験片で観測されたエコー強度のピーク値は,生物が付着していないものに比べて小さくなった.これはフジツボ付着の影響によるものと考える.フジツボはセメント質で平板上に付着しており,フジツボ付着箇所では試験片表面にセメント質の膜が構成されている.このセメント質の有無により表面での反射エコー強度に差が生じたと推測される.つまり,セメント質は水よりも超音波が透過しやすく(反射しにくく)試験片表面からの反射エコー強度が低下したと考える. 「3次元形状計測に向けた準備作業」では,生物付着試験片の形状計測に向けて,高精度で3次元形状計測が可能なパターン投影式の形状計測機を導入した. 「実船舶での超音波計測」では,沖合に停泊中の実船舶の機関室内に計測機器一式を持ち込み,船内壁面に超音波プローブを押し当てて計測を実施した.船体外板からの反射エコーが明確に計測されたことから,実船においても本手法が適用できると考える.一方で今回計測した船舶においては船体外板にはほとんど生物が付着しておらず,実船舶での超音波による生物付着計測の妥当性の確認はできなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね年度当初の計画通りに進捗している.実船舶での超音波計測等,当初計画よりも進んだ試みも行った.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,平成28年度に得られた知見を踏まえた上,超音波プローブの種類を変更する等して更に詳細な超音波エコーの分析を実施する.また,超音波エコー計測結果と3次元形状計測結果を比較・対照し,生物付着を検出するために最も適したエコー情報の抽出を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
競争入札等により当初予定価格よりも安価に物品購入ができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
超音波エコー計測がより容易に行えるような治具の製作費等として使用する.
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