本研究は,3種類のセンサを用いて,安価な装置による三波長蛍光管の識別,現在目視で行われているプラスチック製の被覆有無の識別,現在対応できていない蛍光管内部の導電性皮膜有無の識別を自動化し,高品位のレアアース回収のための廃蛍光管自動選別装置を開発することを目的とした。以下に、平成29年度の概要を述べる。 ・テスラコイルにより発生した電界中で、ガラス管内部の導電性被膜の有無により、発光の違いを生じる。電界分布のシミュレーションを行った結果、この原因が、筒状の導電性被膜による静電遮蔽によることを明らかにし、識別のために最適なテスラコイルと蛍光管の位置関係を決定した。さらに、電界中の蛍光管の発光の様子を、カメラ画像よりも天井灯などの環境の影響を受けにくい、フォトレジスタンスの抵抗変化を用いて測定し、抵抗値の平均と分散を変数とする判別分析を適用した結果,誤判別のない導電性皮膜有無の識別が可能となった。 ・蛍光管を覆う被覆には、目視によって識別できるものとできないものがある。目視によって識別できる蛍光管については、本研究でこれまで開発した手法で、誤判別なく識別が可能となっている。本研究では目視によって識別できない蛍光管に対して、従来の線形判別法よりも識別精度の向上が見込まれる非線形判別法の一つであるニューラルネットワークのプログラムを作成した。 ・開発した識別機能に、蛍光管の搬送・回収を行う独自のハードウェア / ソフトウェアを追加し,最大46本 / 分(約2700本 / 時間)の処理能力で、連続的に、三波長蛍光管の識別、導電性被膜有無の識別、目視で判断できる被覆有無の識別を、誤りの無く選別する廃蛍光管自動選別装置の開発に成功した。さらに、レアアース回収のための要素技術である被覆剥離、ガラス管切断の手法と機構を検討し、被覆剥離・ガラス管切断の雛型装置を試作した。
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