研究課題
本研究では、溶融スズ等の液体金属で乱流が十分に発達した流速数m/s の自由表面流を生成し、これが超高熱負荷に耐えられるかを実験的に検証する。その結果を基に、核融合炉における受熱と排気を両立するものとして我々が提案している新概念の液体金属噴流シャワーを用いたダイバータREVOLVER-D が実現可能なことを示す。平成30年度は、大型真空チャンバー内に水冷機構を設けた溶融スズ噴流装置を設置し、溶融スズ噴流へのTIGアーク放電を行うためのアークトーチや熱電対、四重極質量分析計などの導入を完了した。真空中での溶融スズ噴流生成、及びこれに対して少量のアルゴンガスを用いてのTIGアーク放電を行うことに成功した。これまでのところ、4アンペアのTIGアーク放電を最大8秒程度安定に保持できている。この程度のアーク放電ではスズ噴流に赤熱などの変化は見られなかった。四重極質量分析計でも、質量数120付近の信号強度に変化はなく、スズ同位体及びスズの水素化合物(スタンナン、SH4)が発生した兆候は認められなかった。アーク放電中にスズ噴流が誤信号によって停止し、アークがスズ噴流を噴出するノズルに飛ぶことがあったが、この時は1秒以内にノズルが赤熱した。このことから、アーク放電によって十分な熱が加えられるが、スズ噴流はこれに十分耐え、四重極質量分析計の計測にかかるようなスタンナンは発生しないことが明らかとなった。本研究に関連して、平成30年度には国内学会2件、国際学会4件の発表を行い、査読付き英文論文1本が出版された。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件)
Fusion Engineering and Design
巻: 136 ページ: 1278-1285
doi.org/10.1016/j.fusengdes.2018.04.118