研究実績の概要 |
本研究課題の主たる目的は「表現形質の異常を高精度に検出するためのワークフローの開発」であり、昨年度までに、マウスの網羅的な表現型(ヒトの病気の症状に相当)のデータを用いて、意味のある表現型と表現型の関係性のリストを提示することができた。また、副産物として、当初の予定よりもインパクトの大きい、マウスの表現型間の関係性の参照用データセットを提示することができた。そこで、平成30年度では、これらのデータの理解及び利用促進のため、アプリを開発し公開した。また、本課題の成果は、第41回(2018年)分子生物学会年会で口頭及びポスター発表されるとともに、英国の雑誌「IMPACT」で紹介された。本研究の成果は国際誌への原著論文発表のためまとめられ、2019年5月現在、審査中である。その内容の概要を以下に示す。 哺乳動物での病気の症状と症状との関係性については、比較的小規模な予測の関係性がわかっている一方で、これまでに大規模で信頼性の高いものは報告されていない。そこで我々は、3,100種類の遺伝子改変マウスの様々な表現型(症状)のデータを解析することにより、345種類の表現型(60種類の生物学的な機能)で構成される、3,686種類の表現型間の関係性を明らかにした。本研究で得られた数多くの表現型(症状)間の関係性のリストは、哺乳動物での病気の症状と症状との関係の一般原則として利用されるだけでなく、病気の症状が現れるメカニズムを解明する研究に役立つであろう。
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