組織中の細胞の多様性と細胞間相互作用の重要性が明らかになるにつれ、埋没しがちな少数派の細胞の振る舞いを解析したいと考えた。従来の単純な酵素処理法では細胞の個性が変容してしまうため、組織を迅速固定後に細胞を酵素的に分散させて選別し、下流のRNA解析に適う細胞の取得を目指した。内因性RNA分解酵素の作用しない固定および酵素消化反応の条件域を確定した。また、その条件域でレポーターとなる蛍光物質も選定した。一方、その条件下ではたらく酸性プロテアーゼは、凝集した細胞外基質を消化する条件下では細胞自体の損壊も激しく実用的な細胞分散条件の決定には至らなかった。至適条件の特定は今後の研究に委ねられる。
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