研究課題
挑戦的萌芽研究
中琉球(奄美・沖縄群島)固有で湿潤環境に生育するコバノミヤマノボタンやオオシマウツギなど複数植物の最近縁種が中国大陸に産することが分子系統解析によって示された。これらの植物は種子の長距離分散能力を欠き、渡海の可能性が極めて低いことから、それらの隔離分布成立を説明するには両地域を結ぶ古揚子江など陸伝いの湿潤な回廊が不可欠である。従って、「古揚子江流域は湿潤環境に生育する植物の中国大陸から中琉球への主要な進入経路であった」という仮説は高い可能性をもつと判断された。
系統分類学
これまで形態データから示唆されていた陸生植物における中国大陸-中琉球の隔離分布が本研究の分子データ用いた解析によって支持され、植物の新たな日本列島への主要進入経路が示唆された。本研究の成果は国際植物科学会議XIX(2018年、中国)で代表者が主催したシンポジウムの主要テーマとなり、今後、国際共同研究として更に発展させることになった。また本研究の成果を活用し、巡回展「琉球の植物」を沖縄県で開催した。