日本初となるダム撤去事業が球磨川・荒瀬ダムで実施された(2013-2018年)。約60年間存在したダム湖が解消し、ダムの上下流や支流は流水ネットワークで接続され、河川生物の移動分散の障壁は完全に解消された。流水環境に適応した生物種群の移動分散を可能にし、遺伝子流動スケールにもプラスの影響をもたらすと予想される。
本研究では、ダム撤去直前に採取したヒゲナガカワトビケラの遺伝構造解析を行い、ダム撤去前の遺伝構造データとして位置づける。今後のサンプリングと遺伝子解析データ、すなわちダム撤去後のデータと比較することで、日本初のダム撤去事業がもたらすであろう効果を検証する基礎データとして位置づける。
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