一部の魚類は、アスタキサンチンという赤色カロテノイドを、ゼアキサンチンやルテインという黄色カロテノイドへと還元的に変換し、蓄積する代謝経路を有している。本研究では、この魚類におけるカロテノイドの還元的代謝に関与する酵素を明らかにすることを試みた。当該酵素の基質特異性に関する知見を得るため、ヒメダカ(Oryzias latipes)に対し、アスタキサンチンの三種立体異性体を個別に投与したところ、いずれもゼアキサンチンおよびルテインへと変換された。このことから当該酵素は、アスタキサンチンの立体構造の違いを認識せず、基質として用いることが明らかになった。
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