血管外組織常在性のマスト細胞は異物の排除応答に関わる一方、この過剰反応は即時型アレルギー性炎症として顕在化する。本研究では脂質の視点からマスト細胞の新規調節機構の解明に取り組んだ。従来のマスト細胞研究の主流であるマスト細胞の「活性化」ではなく、その前段階、すなわちマスト細胞の前駆細胞が組織微小環境との相互作用を通じて「増殖・成熟」し、適切な応答性を獲得するプロセスに着眼し、既成概念であるアラキドン酸代謝とは異なる複数のnon-canonical脂質経路(リゾリン脂質-GPR26経路、PLA2G7B-ω3エポキシド経路)が組織微小環境依存的なマスト細胞の量と質の調節に関わることを明らかとした。
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