本研究では、日本人の国民健康栄養調査等で不足が指摘される栄養素の内、ビタミン類に着目し、ビタミン摂取不足時に産生が増加する代謝産物をメタボローム解析により網羅的に解析した。その結果、ビタミン不足時に濃度が上昇する代謝産物を見出した。この代謝産物は腸内細菌叢を破綻させた状態では産生されないことから、少なくとも一部は腸内細菌により合成されることが考えられる。また、腸内細菌叢を破綻させたマウスでは栄養素不足に対する応答性に異常が見られた。これらのことから、腸内細菌叢による食事成分の代謝物質を解析することで、食事摂取状況を推定できるだけでなく、宿主の腸内環境を評価する手法の開発に繋がる可能性が高い。
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