研究実績の概要 |
本研究ではCRISPR-Cas9によるゲノム編集を体細胞性に応用し、癌における遺伝子異常を根本的に修復する新たな癌治療法開発として、CRISPR-Cas9法による変異特異的遺伝子ノックアウトおよび遺伝子変異部位修復により、異常活性化癌遺伝子の特異的破壊、正常遺伝子との入れ替えを行い、癌における遺伝子異常を根本的に修復する、これまでに無い極めて画期的な癌治療の実現を試みた。膵癌では90%でKRAS遺伝子の特定のコドンに機能亢進性変異を有しており、それを標的とすることで膵癌細胞の増殖が抑制されるか検証するため変異特異的にCRISPR-Cas9法によるターゲッティングを行なった。pCas-Guideプラスミドベクター(Origene, Rockville, MD, USA)に標的とするKRAS遺伝子コドン12の種々の変異パターンに対応したguide RNAを挿入したターゲッティングベクターを構築し、リポフェクション法で膵癌細胞にトランスフェクションしてその表現型を解析した。結果、配列特異的に種々の程度の増殖抑制効果を認めた。より高効率で、かつ、導入量の調整がしやすく、また、一過性発現でホストのゲノムへのインテグレーションを起こさないアデノウィルスベクターによるゲノム編集治療実験を行うべく、当初計画に沿って、構築したKRAS遺伝子変異特異的pCas-GuideプラスミドベクターからKRAS遺伝子コドン12の種々の変異パターンに対応したガイドRNA発現システム及びCas9コーデング領域を切り出し、アデノウィルスコスミドベクターにインフュージョン法によりクローニングし、アデノウィルスの骨格となる、KRAS遺伝子コドン12の種々の変異パターンに対応したガイドRNA発現システム及びCas9コーデング領域をもつコスミドベクターを構築し、293細胞内で組み替えを起こさせることによりアデノウィルスを構築した。
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