本研究は免疫記憶を司るリンパ球が長期間にわたり腸管粘膜の防御の一線を担う自然免疫系を制御している可能性からその機序を解明し、ウイルスや細菌などによる粘膜感染症への応用を図るものとして遂行された。具体的に感染幼虫が腸管粘膜に侵入するマウスの寄生線虫(Hp)の再感染に対してその侵入を阻止する機序の解析を行った。その結果、Hpは初めにたどり着いた粘膜に侵入するものの、小腸上部1/6に侵入し直して組織内で発育すること、ゆえに再侵入阻止は初めの侵入によって1~2日で誘導されることが示唆された。この成果は、Hpのこれまでの生活史を改めるものであり、免疫記憶による粘膜侵入阻止が応用可能であることを示した。
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