リズム反応運動は重度認知症患者でも維持している能力で、且つ、認知機能と高い相関があることから、リズムを用いたコンテンツを用いることで、認知症重症化対策としてのリハビリテーションプログラム構築となる可能性がある。 要介護度が高い方が入所している特別養護老人ホームで、集団でドラムを使ったコミュニケーション演奏を行なうプログラムを30分間週3回3ヶ月間のランダム化比較試験(RCT)介入実験を行ない、ドラム運動効果による上肢機能と認知機能改善効果を調べた。 その結果、認知症があってもなくても、ドラム演奏は可能で、且つ上達することがわかった。またドラム介入プログラムは要介護度が高い高齢者施設で3ヶ月間継続できることがわかった。認知機能の評価に用いたMini-Mental State Examination(MMSE)とFrontal Assessment Battery(FAB)のスコアが有意に向上した。肩屈曲(自力) ・水平伸展・ 掌屈(自力) ・背屈(自力)の関節可動域が有意に改善していた。従って、集団ドラム演奏は運動効果や認知機能改善効果があることがわかった。しかしながら、筋力、身体組成については改善効果が見られなかったため、ドラム運動を行なう場合でもリハビリテーション栄養の知見を取り入れる必要があることがわかった。 研究成果は、9月に行われた日本心理学会第81回大会のシンポジウムで発表、3月にボストンで行われたCognitive Neuroscience Society 2018でポスター発表した。 また、ジャイロセンサーで計測した特徴的な身体機能が認知症ありなしや重症度のスクリーニングになることがわかった。被験者に負担をかけないで認知機能の計測ができる。特許申請中である。
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