今回、我々は、日本近海で漁獲されたベニズワイガニの総水銀およびメチル水銀の濃度を調査した。また、分子量に基づきメチル水銀濃度を水銀濃度に換算した値と総水銀濃度との比を算出するとその平均値は0.88であり、ベニズワイガニでは、水銀は概ねメチル水銀の形態で蓄積されていた。一般的な日本人の食事でベニズワイガニによるメチル水銀摂取量は、0.013 mg/週未満と試算された。この値は、暫定耐容一週間摂取量の約1/6であり、健康へ直ちに悪影響を与える量でないことがわかった。ベニズワイガニがメチル水銀の汚染指標となり得るかを検証するために、今後、試料サイズ、試料数の増加、試料の漁獲海域を統一する必要がある。
|