多発性嚢胞腎の成人例は常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)というPKD1/PKD2遺伝子の変異による疾患と考えられているが、家族内発症がない患者の遺伝学的背景については十分に解明されていなかった。我々は様々な嚢胞性腎疾患を網羅的に解析できる遺伝子診断パネルを作成し、家族歴のない成人多発性嚢胞腎患者を検討したところ、一部の患者がADPKD以外の疾患であると診断された、遺伝背景による臨床的特徴も明らかになった。この結果は遺伝子診断パネルによる遺伝学的診断の有用性を示しており、今後、治療適応の決定や遺伝子カウンセリングなどへのさらなる臨床的な活用が期待される。
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