CD133陽性・陰性細胞を用いた本研究により、CD133陽性大腸がん細胞は、低糖状態において、解糖系での代謝を抑制して、ペントースリン酸回路への代謝フローを確保することが明らかとなった。この代謝リモデリングにより、脂肪酸やコレステロール合成に必須のNADPHの産生を保ちつつ、核酸の合成に必要なリボースの産生も維持することで、低糖状態下でも細胞増殖を可能にしていると考えられた。さらに、グルコース枯渇状態では、グルコースの代わりに乳酸を利用することが示唆された。CD133陽性細胞は、生存には厳しい環境を生き抜くために細胞内代謝を変化させて環境の栄養状態に適応する潜在的能力を持つことが示唆された。
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